情報過多(情報オーバーロード)は本当か?!なぜ情報過多と感じる?
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十何年前から「情報オーバーロード」「情報過多」という言い方が普及し始めて、今は情報過多対策などのブログもよく見るようになってきました。
インターネット時代の膨大の情報を目にして、吸収しきれるかが心配になり、焦り始める人がとても多いでしょう。これも一部の人が今の時代が嫌いになった一つの理由です。
でも、情報過多は本当に問題なのか?
違います! 考えてみればわかりますが、それは問題になりません。
簡単な例を二件上げます。
一、情報技術が進歩する度、同じような声が聞こえます。たとえば、印刷技術が発明された時、そんな沢山の本、読めるわけがないと。今、インターネット時代で情報過多と言っている人々は、ネット時代が到来する前、すべての本を読み切ったのでしょうか?なぜ過去は沢山の本に対して、情報オーバーロードと言っていないでしょうか?いつの時代でも、人にとって情報は多すぎます。
二、アメリカのピュー研究所の去年の調査によるとアメリカで情報過多と思っている人は二割だけで、10年前よりも少ないようです。また、この2割の人の大半はお年寄りと教育レベルが低い人です。多くの若者にとっては、全然問題になっていないようです。
以上の2つの例で分かることは、
1、情報過多は今時の話ではない
2、情報過多は一部の人にしか影響がない
3、慣れれば問題ない
これで問題が変わってしまいます。
情報過多にどう対処すべきかではなく、誰が、いつ、情報過多と感じるかが問題です。
では、なぜ人々は沢山の情報を見て、ストレスを感じ、焦るのでしょうか?
それは、見ている情報量が足りなくて、その領域に詳しくないからです。
意外な結論ですね。
食べ過ぎて気持ち悪いのに、もっと食え!と言われるのと同じ感じですから。
実は私たちにとって有効な情報となるのは、意外と感じた新しい情報です。例えば、毎日通る道を歩いていると、慣れているから何にも感じないよね。でも、ある日突然新しいお店が開店されたら意外と感じる。その意外なことが有効情報になる。
その環境に慣れればなれるほど、新しい情報が減って来る。逆を言えば、情報が多いと感じることは、その環境に慣れていないことになる。
これで先の結論、「沢山の情報を見て、ストレスを感じ、焦ることは、見ている情報量が足りなくて、その領域に詳しくないから」が理解できるかと思います。
この言い方は常識はずれに聞こえますが、日常生活の経験に基づいて考えれば理解しやすいです。
毎年、日本で数え切れないほどのドラマや映画が上映されますが、全部見切れるはずがありません。これを知って情報過多と思っていますか?思っていないはずです。逆に、いい映画がなくてがっかりしているかもしれません。
日本の映画だけでなく、アメリカの映画を探しても、絶対見たいと思う映画も多くないです。これらの映画を見切れないと焦っていますか?iTunesの会員になって、全部の音楽を聞き切れないと思って焦っていますか?
エンターティメントだけではなく、学問の分野でも同じです。学者たちが本当に論文が多すぎるからと思って焦っていますか?そんなわけないです。多くの学者からすれば、自分の研究領域で良い研究、論文がないから、新しい刺激がないと困っています。
では、私たちはいつ情報過多と感じるのか?
それは、新しい領域で、見慣れていないことと接する時です。
例えば、初めアウトレットに行った時、商品が多すぎて、何を見ればいいかわからないぐらいですが、何回も行っているうちに、その感覚が消えていきます。初めての場所に行く時は距離が遠いと感じますが、帰りの場合は少し近く感じます。これも同じ理屈です。
簡単な例ですが、情報過多と感じるのはその領域について詳しくないのが原因であることが理解できるかと思います。
この話を少し広げてみます。
なぜ事実上情報の量は本当に増える一方なのに、自分の領域に詳しい方は焦ってないでしょうか?
彼らはその領域のすべてについて知っているわけではなく、一番良い情報を知っているからです、一番いいことを体験しているからです。
人が情報を接受する能力はあまり大きく変化しないですが、情報の質に求めるレベルは増えていきます。情報の絶対量が増えているのに、有効情報はあまり増えていない。これは人々が情報の質に求めるレベルが上がっているからです。
例えば、今の映画作成レベルは何十年前よりかなり進歩していますので、現在の中レベルの映画を20年前に持っていけば、最高レベルの大作になります。これは観客の映画に対する期待値が増えているのが理由です。
商業上の競争というと、製品改善やサービスの向上を思い出します。その裏に隠れている動機はユーザーの体験を上げることです。ユーザー体験を一回レベルを上げてしまえば、なかなか下げられない。ユーザーがいいことを知ってしまえば、悪いのに耐えられなくなります。
例えば、もしあなたのサクサク動くスマホが壊れてしまい、自分の二、三年前の古いスマホを取り出して一時的に使用するとなると、動きが鈍いと感じて、ストレスがたまると思います。それは、あなたがより良いスマホを体験したからです。
自分のライバルより良い製品、より良いサービスをユーザーに提供するということは、ユーザーにより良いことを体験してもらうことになります。ユーザーが良いサービスを体験してしまえば、ライバルのサービスに戻ることができなくなります。
これは競争相手を勝つことに役に立つだけではなく、自分のサービスを上げていく圧力にもなります。
簡単にまとめます。
1、いくら情報が多いと言っても、自分が詳しい領域では情報過多になりません。
2、情報が多ければ多いほど、私たちが情報の質に対する期待が上がります。この動きはあと戻しできません。
では、また~
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