【その1】弱者が強者に勝つ!-物語が私たちにもたらす認識の死角!?
人は物語が好きです。
今まで様々な歴史や知識は物語によって代々受け継がれてきました。
世界中の名を挙げた小説家、脚本家、ジャーナリスト達は全員上手く物語を作れます。
彼らは沢山のメッセージ、知識、法則、数字などを物語につぎ込んで、人々に伝えています。
私たちは普段科学知識、医学知識などを勉強しようとしないが、それが映画やドラマになれば、いろんな専門知識がスーと頭に入ってきます。
例えば、『ボーンズ』,『救急病棟24時』
よく専門家達は自分の研究が難しいから、普通の人に説明してもわからないと言いますが、それはただ物語を作るのが下手だからです。
イタリアの哲学者、ヴィーコは「裸の真理」ということを言っています。
人間の世界では真理は裸であってはならない。真理は、真理に相応しい衣服に身を包んで、真理らしく見えなければいけない。ここで言う衣服は正に物語です。
人間社会の様々な知識、思考、観念や意識は物語で形成され、物語によって受け継がれている。
しかし、それは二つ問題を生みます。
一、物語が真実から離れてしまう
一般的な考え方では、歴史学というのは真実を再現する学問である。
そんなわけがない。真実は複雑すぎるので、真実を再現できるわけがないんだ。
歴史学者の仕事は、人々が認める歴史史料に基づいて、ロジカルに出来事を解釈することです。
わかりやすく言えば、物語を作ることです。
歴史の研究と真実の探求は違います。後者は探偵の仕事です。
二、物語は誤解や認知の死角を作ってしまう
これからは何回かに分けて、物語が作った誤解や認知の死角について書きます。
今まで、ほぼすべての物語は弱物がどう強者を勝ったかについてです。
ここでいう強者は、人かもしれないし、自然環境や組織かもしれない。
亀とうさぎ、桃太郎はみなさんが知っている物語です。
また、強すぎる日本のルフィにも、アメリカのスーパーマンにも次々の強敵が現れます。
このスタイルは物語の定番です。なぜなら、人間は弱物を同情するようにできているからです。
この描き方には問題ないですが、このような物語を見ていると、人々の思考回路が弱者の立場から問題を考えるようになってしまいます。
例えば、亀とうさぎの物語では、私たちは弱物である亀の視点から物語の展開を見ます。弱い亀が強いうさぎを勝った時、私たちは自然に弱物が強者を勝てるのは、弱物に何か特徴や性質があるからと考えます。例えば、諦めない強い精神力など。
しかし、強者が弱物によく負けるのは、強者にも弱点があるからではないですか?
これが物語が作ってしまう認知の死角になります。
作者マルコム・グラッドウェル は、 『逆転!強敵や逆境に勝てる秘密』という本では、強者の弱点について書きました。
次回は、事例に基づいて強者の弱点について説明します。
ちなみに、マルコム・グラッドウェルの人気作を下に貼っておきます。
- 作者: マルコム・グラッドウェル,勝間和代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/05/13
- メディア: ハードカバー
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- 作者: マルコム・グラッドウェル,沢田博,阿部尚美
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/02/23
- メディア: 単行本
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