【その1】デザインだけではない、ビジネスの世界でも力を発揮するシンプル化、簡素化!
デザイナーがよく口にする簡素化、シンプル化はデザインの世界だけではなく、実はビジネスの世界でも大きな力を発揮します。
先ず、私の経験から。
ある日、公園を散歩していたら、2匹のリスがケンカしていた。始めて見た光景だったので、すぐポケットから携帯を取り出して、パスワードを入れて、カメラのアプリを立ち上げて、写真を撮ろうとしたら、2匹のリスがすでに姿を消えていた!
(こんな写真が撮りたかった!)
なぜそうなったのか?
私の反応が遅かったのか?今後は携帯を取り出すスピードを特訓して、次回リス3匹のケンカに備えるべきか?笑
違います、私の携帯の撮影機能が複雑だったからです!
シンプル化、簡素化されていなかったからです!
2007年、二人の若者が私と似ている経験があって、即撮影できるカメラを開発した。取説も、コードもない、光学ズームもできないカメラだが、出してすぐ撮影できて、すぐYoutubeにアップできます。
このカメラの名前は「Flip」、発売してすぐアメリカで大人気になり、カメラが年間600万台しか売れない10年前に、百万台以上売れた。
なぜ売れたのか?カメラがシンプル化、簡素化されたからです。
カメラを使用している皆さんは疑問に思うかもしれません。
ユーザーにとって、光学ズーム、写真編集、リモート撮影、フィルターなどの機能が必要ではないですか?と。
『Simple and Usable』(Giles Colborne 著)という本では、いわゆる「ユーザー」を三つに分けました。
Simple and Usable Web, Mobile, and Interaction Design (2nd Edition) (Voices That Matter)
- 作者: Giles Colborne
- 出版社/メーカー: New Riders
- 発売日: 2018/01/06
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
カメラユーザーを例にして説明します。
一、新しいユーザー、約20%を占める。普通にカメラを試してみたいだけのユーザー、敷居が低ければ使ってみたいユーザー。
二、メインユーザー、約70%を占める。特定の目的でカメラを使っている。これらのユーザーはすべての機能に興味があるわけではない。
三、プロユーザー、約10%を占める。これらのユーザーはカメラを研究するのが好き、新しい機能を活用したいユーザー。
「ユーザー」にはあの機能も必要、この機能も必要と聞きますが、実はその大半はプロユーザーのニーズです。
しかし、プロユーザーは10%しかいない!
10%のユーザーのために90%の機能を開発するのは明らかに無駄行為になる。
その無駄な機能はコストです。企業の開発、生産コストと顧客の認知コストです。
では、何が正しいですか?
シンプル化、簡素化することです。
シンプル化、簡素化はデザインの理論に聞こえるが、実はビジネス上の選択と集中でもある。
選ぶべき選択肢は、メインユーザーの為に商品を開発することです。
じゃ、プロユーザーはどうすればいいですか?
プロ用の一眼レフを使えば良い!
次回、簡素化の具体的なやり方について紹介します。
関連書籍
ほんとに使える「ユーザビリティ」 -より良いデザインへのシンプルなアプローチ
- 作者: エリック・ライス,浅野紀予
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2013/10/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (6件) を見る